飼い鳥の手術と処置

 鳥の手術と言うと、飼い主さんの中には信じられない方も居られるかもしれません。鳥の病気の中には、外科的な手術や処置をしないと治らないものがたくさんあります。手術の術式や設備などは 年々進歩しており、以前は治せなかった病気も今では治せるようになっているものもたくさんあります。当院では、特に外科に力を入れており、日々研究を行っております。
 この項では、鳥の外科手術や処置について解説していきます。

 外科手術を行う前には、必ず鳥の評価を行う必要があります。特にセキセイインコのような小型鳥では、術前の状態の把握が手術結果を大きく左右します。ここでは、術前に評価すべき項目を解説していきます。全ての項目を評価するのは困難なこともありますが、できる限り厳密な評価を行います。

1. 身体検査

まず鳥の身体検査を行います。次の点を評価します。

(1) 体重とボディコンディションスコア

 鳥の栄養状態を確認し、手術に耐え得る体力があるかどうかを確認します。腹部膨大がある場合、実際の体重よりも重くなるため、体重のみを指標とせずボディコンディションスコア(以下BCSと記す)も合わせて評価しなければなりません。食欲が減退しBCSが低い場合には、入院させ、強制給餌を行い体力の回復を行うこともあります。また体重、BCSともに高く、肥満している場合は、食餌制限により減量を行い、皮下脂肪および肝後中隔脂肪を少なくする必要があります。特に肝後中隔脂肪の蓄積が多い場合、腸管腹膜腔へのアプローチが難しくなり、切開創も狭く出血が多くなることがあります。

(2) 脱水

 食欲の低下により鳥は容易に脱水を起こします。脱水の評価は、皮膚の色と張力、脚の色、眼の状態にて行われます。脱水により皮膚は暗色化し、柔軟性を失い張った状態となります。脚も暗色化し、趾が細くなり趾関節が目立つようになります。また重度の脱水では、眼圧低下により眼がくぼんだようにみえます。   
 脱水による循環血液量の低下は、麻酔中の血液低下を招くため危険です。よって脱水がみられた場合は、補液や強制給餌等を行い、脱水および活力の改善を行ってから手術に望むことになります。
 脱水している鳥を止むを得ず手術する場合には、静脈内輸液を行います。

(3) 嘴、爪、羽毛の状態

 肝機能低下により嘴、爪、羽毛に異常が出ることがあります。肝機能低下によるアミノ酸合成能低下により嘴および爪の脆弱化と過長、羽毛の変色と粗雑化、ダウンフェザーの伸長などがみられます。また出血傾向により嘴および爪に出血斑がみられることがあります。これら症状がみられた場合、麻酔と出血のリスクが高い可能性があります。
 また換羽で大量の羽毛が抜け変わっている場合には、体力が低下していることがあるため注意が必要です。

(4) 発情の程度

 発情は、雌の卵巣・卵管疾患の手術をする時に大きく関わってきます。卵管蓄卵材症を起こしている場合、卵管の大きさは発情にかかわらず卵管内の容量に左右されますが、卵管が正常な場合は、発情時は発達し、非発情時は退縮します。また発情時は腹腔や恥骨間、腹筋が弛緩しますが、非発情時にはそれらは縮小します。これらの特徴は、卵管の摘出に大きく影響します。発情時は腹部が膨大し、卵管も発達しているため術野の確保が容易ですが、非発情時は腹部、卵管ともに縮小するため、術野が狭くなります。よって腹壁ヘルニアや卵管疾患の手術をする時は、発情時に手術を行うことが多くなります。しかしこれは病院によって方針が異なることがあります。

2. レントゲン検査

 レントゲン検査によって、呼吸器と循環器の状態、その他の内臓の形状や位置の確認を行い、リスク判定を行います。

(1) 心臓の評価

鳥の心臓の評価は、主に臨床症状、聴診、レントゲン検査にて行われます。心拍数が多いセキセイインコでの心電図は困難です。レントゲン検査での心陰影の拡大や変形、変位は、循環に何らかの影響が出ている可能性があります。特に呼吸促迫や運動不耐性がみられる場合には、治療を行い、症状が改善してより手術を行うことになります。

(2) 肺と気嚢の評価

 レントゲン検査にて肺と気嚢スペースの評価を行います。肺高血圧による肺の不透過性亢進が見られた場合は麻酔のリスクが高くなります。また肺炎がある場合は、麻酔をかけることはできなくなります。
 気嚢スペースとは、気嚢が膨らむ容量のことです。腹壁ヘルニアでは、臓器が体腔外へ脱出しているため比較的気嚢スペースが確保されています。しかしその他の腹部膨大を呈す疾患では、気嚢が圧迫され、気嚢スペースが狭窄しているため、麻酔のリスクは高くなります。

(3) 肝臓の評価

 レントゲン検査での肝臓の肥大は、脂肪肝症候群や肝うっ血などが疑われます。肝肥大が確認された場合は、肝機能低下や高血圧が存在する可能性があります。しかし腹部膨大を示す疾患では、肝臓の大きさを評価することが困難になります。

(4) 発情の程度

 発情は、雌の卵巣・卵管疾患の手術をする時に大きく関わってきます。卵管蓄卵材症を起こしている場合、卵管の大きさは発情にかかわらず卵管内の容量に左右されますが、卵管が正常な場合は、発情時は発達し、非発情時は退縮します。また発情時は腹腔や恥骨間、腹筋が弛緩しますが、非発情時にはそれらは縮小します。これらの特徴は、卵管の摘出に大きく影響します。発情時は腹部が膨大し、卵管も発達しているため術野の確保が容易ですが、非発情時は腹部、卵管ともに縮小するため、術野が狭くなります。よって腹壁ヘルニアや卵管疾患の手術をする時は、発情時に手術を行うことが多くなります。しかしこれは病院によって方針が異なることがあります。

(5) 腎臓の評価

 レントゲン検査での腎臓の評価は、腹部膨大がある場合、腎臓の陰影が隠れてしまい評価が困難がこと多い。もし腎肥大がみられた場合は、腎機能低下が存在する可能性があるため、麻酔管理や術後の合併症に注意が必要です。

(6) 消化管の位置

 消化管の位置は、造影剤(バリウム)を飲ませて撮影することによって評価します。消化管の位置がはっきりと分かることによって、病気の診断と共に切開部位の決定を行います。

3. 血液検査

血液検査を行い、内蔵の機能や貧血の有無を確認し、リスク判定を行います。大型鳥では、手術前に一通りの血検査を行っても問題ありませんが、小型鳥では、手術前に多く採血してしまうと手術に影響が出る可能性があるため、少量の採血に留め、数項目の検査を行います。

(1) PCVとTP

 PCVは、血液中の赤血球の割合のことです。PCVが低いと貧血を意味します。貧血は手術のリスクが高くなります。しかし卵管炎や卵黄性腹膜炎などで敗血症を起こした場合には、貧血が進行することがあるため、早めに手術を行った方がよい場合もあります。
 TPは、血漿中の蛋白質量です。発情した雌では、エストロジェンの影響により血中アルブミンおよび脂質が増加するため高値になりやすくなっています。よって異常値と判定されるのは低値の場合のみです。TPの低下は、肝機能障害や腎機能障害が考えられます。

(2) 肝機能検査

 鳥の肝機能の評価には、AST、GGT、LDH、BA、TCHO、NH3、CPKの測定が必要ですが、小型鳥では、全ての項目を測定するための血液量は採らないため、上昇が慢性肝疾患を示すASTの測定を行います。

(3) 腎機能検査

 鳥の腎機能の評価には、尿酸、ALP、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウムの測定が必要ですが、全ての項目を測定するための血液量は採らないため、上昇が高度の腎障害を示す尿酸の測定を行います。

(4) 血液凝固試験 

 鳥の血液凝固試験は、スライド凝集法によって行います。スライドグラス上に血液を滴下し、血餅が形成されるまでの時間の測定を行います。凝固までの時間が長いと手術中に出血が止まりにくい可能性があります。

飼い鳥の手術と処置
麻 酔 鳥の麻酔
手 術 腹壁ヘルニアの手術
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処 置 卵圧迫排出処置
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