生殖器疾患以外の病気

肝肥大
原因  肝肥大の原因には、細菌、クラミジアおよびウイルスによる肝炎、活動性肝炎、脂肪肝症候群、肝腫瘍などがあります。
発生  細菌、クラミジアおよびウイルスによる肝炎、活動性肝炎、脂肪肝症候群は、セキセイインコ、オカメインコ、ラブバードに多くみられます。肝腫瘍は、ブンチョウ、ジュウシマツで多くみられます。
症状  肝肥大による腹部膨大は、顕著な膨大ではなく、触診にて分かる程度であることが多いです。皮下脂肪が少ない場合には、触診時に腹壁を通して肝肥大が確認できることもあります。
 特異的症状は、その病気により変わりますが、肝疾患に共通して出現することが多い症状には、尿酸の黄色または緑色化、嘴の過長、脆弱化および出血斑、羽毛異常があります。
診断  診断には、レントゲン検査、超音波検査、血液生化学検査が有用です。感染の鑑別には、遺伝子検査を用います。
治療  診断に従って、治療を行います。肝機能障害の治療には、肝庇護剤を用います。


胆嚢嚢腫
原因  胆嚢嚢腫は、胆汁が腸に排泄されず、胆嚢に貯留した状態です。胆管閉塞によって起こる病気ですが、胆管閉塞の原因はまだ分かっていません。
発生  主にブンチョウにみられます。インコ・オウム類は胆嚢が無いため、この病気にはなりません。
症状 p4-4_img12.jpg 腹部が膨大し、腹壁より拡張した胆嚢を透けて見ることができます。鳥の胆汁は、濃緑色であるため、胆嚢は濃緑色に見えます。
 人では、胆汁が排泄されないと黄疸を起こし、皮膚が黄色くなりますが、鳥の皮膚色に変化が出ることはありません。しかし尿が黄色くなることはあります。
 胆汁不足により脂肪消化に影響が出るため、糞便中に未消化脂肪が排泄されます。
診断  特徴的な外貌とレントゲン検査、超音波検査にて診断を行います。
治療  胆管閉塞の治療は困難なため、完治させることは困難です。胆汁の十二指腸への排出口をゆるめる作用がある利胆剤を投与しますが、効果がでることは少ないです。


腹水症
 鳥類は、哺乳類のように腹腔と胸腔が横隔膜で分かれていません。鳥類の体腔には、肝後中隔という膜があり、心臓と肝臓がある肝臓腹膜腔と腸管と生殖器がある腸管腹膜腔の2つに分かれています。腹水がある場合には、このどちらに貯留しているかを検査する必要があります。
原因  肝臓腹膜腔に液体が貯留する原因は、心疾患あるいは肝疾患による門脈圧の上昇です。門脈の血圧が上昇することにより、血管から水分が漏出し、液体が貯留します。
 腸管腹膜腔に液体が貯留する原因には、卵巣・卵管腫瘍、精巣腫瘍などの腸管腹膜腔内の腫瘍からの漏出や血管の圧迫、卵黄性腹膜炎による滲出液などがあります。
症状  腹水貯留による腹部膨大がみられます。肝臓腹膜腔と腸管腹膜腔の液体の貯留は、外観上は鑑別することはできません。
 呼吸器が圧迫されるため、呼吸促迫や呼吸困難がみられます。
診断  レントゲン検査および超音波検査を行い、腹水の貯留部位を鑑別すします。
 レントゲン検査にて、胃の位置が背尾側へ変位している場合には、肝臓腹膜腔に腹水が貯留している可能性が高いです。腸管腹膜腔に腹水が貯留している場合には、腹部全体の液体密度の増高がみられ、背側にマスがない限り、胃は腹側へ変位することが多いです。単純撮影で診断が付かない場合には、消化管造影撮影を行い、腸管の位置で診断することができます。
 超音波検査では、腹部の矢状断面における肝後中隔の位置を確認する。腸管腹膜腔に腹水が貯留している場合には、肝後中隔は確認できず、浮遊する腸管が確認することができます。肝臓腹膜腔に貯留している場合には、腹側に腹水と肥大した肝臓が確認され、肝後中隔が背側へ変位し、そのさらに背側に変位した消化管が確認できます。
治療  治療は、原因治療を目的とします。心疾患性の高血圧が原因の場合は、ACE阻害薬などの心臓薬や利尿剤の投与を行います。この時高脂血症がみられることも多く、存在する場合には、高脂血症治療薬の投与を行います。
 腫瘍性疾患の場合は、摘出が可能なものは外科的治療を行います。
 卵黄性腹膜炎の場合は、卵管摘出術および体腔内洗浄を行います。腹水は培養検査および感受性試験を行い抗生物質の投与を行います。


腎臓腫瘍
原因  鳥類の腎臓は複合仙骨内に入り込んでおり、坐骨神経はその直下に位置しています。腎臓の腫瘍化により坐骨神経が圧迫を受け、脚の完全・不完全麻痺が起こります。
発生  主にセキセイインコにみられますが、まれにラブバードにもみられることがあります。
症状 p4-4_img13.jpg 両側または片側性の麻痺性脚弱、ナックリングがみられます。
診断 p4-4_img14.jpg レントゲン検査にて、腎腫瘍を確認します。消化管とのコントラストが付かない場合は、消化管造影を行うと、腎臓の腫大が確認しやすいです。また超音波検査により腎臓の腫大を確認します。
治療  腎腫瘍は通常両側性に発生するため、摘出は困難です。腎機能の改善、支持療法を治療方針とし、尿酸排泄促進剤の投与を行います。


その他の腸管腹膜腔内腫瘍
 生殖器系腫瘍や腎臓腫瘍以外にも、腸管腹膜腔内に腫瘍ができることがあります。飼い鳥に求められている腫瘍には、血管腫、血管肉腫、線維腫、線維肉腫、脂肪腫、軟骨肉腫、膵臓腫瘍などがあります。
 これら腫瘍発生時には、腹水が伴うことが多く、生殖器腫瘍と鑑別が困難なこともあります。
 治療には、摘出手術を行いますが、体腔や内臓への癒着が大きいと摘出困難です。
▲このページのトップに戻る