真菌性疾患

メガバクテリア症
原因 p3-2_img05.jpg 原因菌:マクロハブダス・オルニトガスター(Macrorhabdus ornithogaster)
メガバクテリアは、グラム陽性の大型桿菌状微生物であり、酵母の一種で、アナモルフ(無性型)の子嚢菌類に新しい属として提案されています。鳥の胃の中に住む酵母であることから、AGY(Avian Gastric Yeast)とも呼ばれています。感染部位は胃であり、特に中間帯周囲に感染し、重度の胃炎や胃拡張を起こ します。
伝播  伝播は水平感染であり、一般的には親鳥が雛鳥に給餌する際に吐き戻した食物の中のメガバクテリアを摂取することによって感染 します。その他では、同居している感染鳥の糞便中に排泄されたメガバクテリアを経口摂取することによって感染します。
発生  10年以上前よりセキセイインコに広く蔓延しており、特に幼鳥の被害が大きい です。感染する鳥種は多く、コザクラインコ、ボタンインコ、オカメインコ、ブンチョウ、キンカチョウ、カナリヤ、ニワトリ、 ダチョウなどに見られます。
症状  症状は、嘔吐・吐出のほか、全粒便 (穀粒がすり潰されていない状態)、軟便や下痢、血便などがみられます。食欲が低下し、餌は殻を剥くだけで、飲み込まないこ ともあります。
診断  顕微鏡による糞便検査にて、メガバクテリアの検出を行 います。糞便への排泄量と症状の強さには、必ずしも比例関係があるわけでは ありません。またメガバクテリアは胃粘膜内に侵入するため、排泄量が少なくても、必ず対処しなければなりません。
治療  メガバクテリアの治療には抗真菌剤が有効です。補助的に粘膜抵抗強化剤(胃薬)、胃腸機能調整剤(吐き気止め)、抗生物質なども併用します。
予後  発見が早ければ治ることが多いですが、発見が遅れ、胃の障害が大きいと メガバクテリアが糞便中から消失しても症状が治らない事もあ ります。中には慢性胃炎から胃腫瘍に発展したと考えられる症例も多く見つかっています。
 糞便中にメガバクテリアが消失しても、胃粘膜内に侵入して残っていることも多いため、長期間の投与が必要です。


アスペルギルス症
原因  アスペルギルス属の真菌が病原菌であるが、この中でも最も重要な種は、Aspergillus fumigatusです。アスペルギルスは、エンドトキシンを産生することでも知られ、環境中に普通に見られる真菌です。
 感染の成立には、環境中の胞子量、環境条件、鳥の年齢や様々なストレスによる免疫力の低下が関与しています。環境中の胞子は、高温多湿により真菌が増殖するのに伴い増加します。感染が成立しやすい環境条件は、清掃不足による不衛生、換気不足による胞子の停滞、乾燥による粘膜防御力の低下などがあります。若齢や高齢の鳥は免疫力が低いため感染しやすいですが、好発年齢というわけではありません。また急な環境の変化、換羽、繁殖、輸送、環境温度の低下または上昇などによるストレスによって免疫力の低下を起こした場合、感染が成立しやすくなります。
発生  多くの飼い鳥、家禽を含めた多くの鳥類に発生がみられます。飼い鳥では、オカメインコ、セキセイインコ、アケボノインコ、シロハラインコ、ヨウム、白色オウム類、ボウシインコ、コンゴウインコなどのオウム目鳥に多くみられ、輸入規制により飼育数が減ってはいますが、キュウカンチョウにも好発します。家禽類では、家庭内飼育のウズラに好発します。またペンギンや猛禽類にもしばしば発生がみられます。
伝播  伝播は、糞便で汚染されたケージや飼料から発生した胞子を吸入することによって起こり、感染鳥から直接伝染することはありません。胞子は通常でも空気中に存在しますが、健康な鳥は通常この胞子に耐性を持ちます。しかし何らかの原因による免疫力低下は、感染成立の原因となります。またアスペルギルスは、卵殻を通じて胚に感染することが出来ます。
症状  感染初期では、ほとんど無症状ですが、感染が進行すると、呼吸促迫、開口呼吸、乾性の咳、声の変調といった呼吸器症状が特徴的です。重症例では呼吸器症状は持続的にみられますが、中等度の例では、発作的に症状がみられる場合もあります。
p3-2_img06.jpg レントゲン検査では、感染初期では異常を検出することはできません。中期以降では、軽度の気嚢炎像が確認できるようになります。重症例では、重度の肺炎や気嚢炎が確認できます。
 血液検査では、感染初期ではほとんどの症例で異常を示しません。中期以降では、白血球増多症、単球増多症、ヘテロフィルの中毒性変化、ガンマグロブリン血症が確認されます。
診断  アスペルギルス症の診断は、気嚢スワブの遺伝子検査を行うのが確実な方法です。成書では、喉頭スワブや後鼻孔スワブ、クロアカスワブの遺伝子検査にて診断を行うと記述しているものもありますが、遺伝子検査は感度が極めて高いため、口腔内や糞便内に存在する感染とは無関係のアスペルギルスも検出される可能性があるため、結果の信頼性が低くなります。気管内スワブは、結果の信頼性が高いですが、麻酔をかけた上で、細いスワブを口腔内に触れないように気管内に挿入しなければならないため、大型鳥以外は行うことができません。気嚢スワブは、麻酔下にて体側部を穿刺して、後気嚢内にスワブを挿入してサンプリングを行いますが、負担が大きいためあまり実施されません。
 確定診断を行うもう一つの方法として、内視鏡による気嚢内検査があります。海外では積極的に行われていますが、国内ではまだ一般的ではありません。
治療  治療は、抗真菌剤の内服および注射による全身投与、ネブライザーによる局所投与を行います。
予後  感染した場合、完治するのが難しい病気です。一度良くなっても再発することが多いため、継続した検査、治療が必要になります。
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