疼痛による歩行異常

外傷
原因  誤って踏む、落ちる、挟むといった事故による骨折、脱臼、捻挫、打撲、損傷などの疼痛によって起こります。
発生  骨折、脱臼、捻挫、打撲は馴れている鳥に多く、特に風切羽を切っており、飛翔・逃避能力が劣った小型鳥に多いです。脱臼は主に膝関節や股関節にみられますが、発生は少ないです。
 損傷はネコやカラスなどの外敵に襲われる、同居鳥との喧嘩、ドアに挟むことによって起こすことが多いです。
症状  疼痛によって脚を挙上します。
 骨折は脛足根骨に多く発生し筋肉の損傷が大きい場合、遠位端が容易に内転または外転します。
 膝関節の脱臼は側副靭帯の損傷程度によってははめることができますが、すぐに外れてしまうことが多いです。
診断  レントゲン検査により、状態の確認を行います。概観上問題がなくとも、亀裂骨折や脱臼を起こしていることもあります。 また若鳥では、骨が柔らかいため、完全には折れずに若木骨折を起こしていることもあります。
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      頸足根骨骨折          頸足根骨の若木骨折
治療  骨折の場合は主にピンニング術による接合術を行います。
 飼い主によっては麻酔に抵抗があったり、慢性発情した雌鳥で、多骨性過骨症によってピンの挿入が困難な場合は、ギブス固定や安静(ケージレスト)にて治癒させる場合もあります。この場合は、ズレて骨が癒合します。
 膝関節脱臼は脛足根骨が内方に脱臼することが多く、指ではめた後筋肉ブロッキング術により再脱臼を防ぎ、治癒させます。股関節の脱臼は、外科的治療は困難です。
 疼痛管理には鎮痛剤を用いますが、積極的には用いられません。鳥は痛みが取れると患肢を使ってしまうからです。
骨折の手術に関してはコチラ


趾瘤症
原因  肥満による体重増加によって足底の継続する負荷により、胼胝腫が形成されたものです。胼胝腫とはいわゆる“たこ”のことであり、結合織の線維成分や基礎物質が増加して硬く緻密となった組織のことです。
 細過ぎまたは太過ぎの不適切な止まり木や餌箱の縁に止まっているなどによる偏った足底への負荷や床が硬いなどが主な原因であり、肥満による体重増加やビタミンA欠乏がこれを悪化させます。また何らかの原因により片足を挙上している場合、正常脚の足底に発生することもあります。
 飼育環境や一次疾患が改善されない場合、状態は徐々に悪化し細菌感染を併発すると、潰瘍形成や腱断裂、骨膜炎を起こし、疼痛により起立困難となります。
発生  全ての鳥類に発生しますが、飼い鳥ではインコ・オウム類、ウズラ、ニワトリ、アヒルに多くみられます。またペンギン類や猛禽類にも多く発生しています。
症状  軽度なものでは無症状ですが、進行するにつれ徐々に疼痛を示すようになります。
 患部は軽度な発赤とびらんから始まり、徐々に腫脹、硬化して、乾酪病変を形成します。細菌感染を併発すると、内部に膿が貯留することもあります。
診断  足床部の視診、触診により診断します。重症例ではレントゲン検査を行い、骨への影響を確認する必要があります。
治療  根本的な原因を改善する必要があるため、まず止まり木、床環境の改善を行います。インコ・オウム類では、適切な太さの止まり木に交換し、止まり木には伸縮テープを巻いて、足底への負荷を軽減します。ウズラ、ニワトリ、アヒルなどでは、プラスチックやフローリング、コンクリートなどの硬い場所を歩かせないようにし、人工芝や低反発スポンジを敷いて足底への負荷を軽減します。潰瘍がひどい場合は、創傷被覆剤で、傷を保護しテーピングを行うとよいです。
 肥満した個体は正常体重に減量する必要があります。また適切な食事への改善も必要です。
 治療には抗生物質、鎮痛剤を用います。


痛風
原因  高尿酸血症によって血液中に溶け切れなかった尿酸塩が結晶化し関節、特に中足関節、趾関節、足根関節部の関節内および皮下に貯留し、結節を形成します。高尿酸血症はビタミンA欠乏症による尿細管扁平上皮化生による尿酸排泄障害が原因であるといわれています。
発生  飼い鳥ではインコ類にみられ、特に高齢のセキセイインコに多いです。ブンチョウ、カナリヤなどのフィンチ類では高尿酸血症はみられますが、痛風結節の形成はみられません。
症状 p4-12_img11.jpg 結節形成前に関節に発赤腫脹と疼痛がみられることもありますが、通常は突然結節が出現し、進行が速いことが多いです。結節形成がみられた関節は、硬化し稼動しなくなります。多くは趾が開いた状態で固まり、疼痛も伴い歩行異常、起立困難がみられるようになります。
診断  痛風結節の出現と血液検査で高尿酸血症を確認します。
治療  治療は高尿酸血症治療と対症療法を行います。高尿酸血症治療には尿酸排泄促進剤と尿酸合成阻害薬を用います。疼痛には、鎮痛剤を用います。

 

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