発情に影響する環境要因とその対処法

 発情の起因、つまり非発情期から発情期に入ることに影響する環境要因とこれを抑制するための対処法について解説します。

(1) 光周期の延長

 光周期の延長、つまり1日のうち明るい時間が長くなると、脳にある松果体がこれを察知し、メラトニンが分泌され、それと同時に視床下部よりGn-RHが分泌されることが、発情の始まりです。発情は光周期が長いほど強くなるということが、研究で分かっており、光周期が6〜8時間より長くなると発情の刺激となります。  光周期が発情に大きく関与するのは、セキセイインコ、オカメインコ、キンカチョウなどの温帯、つまり四季のある地域に生息する種類です。しかし実際には、ラブバード、ヨウム、メキシコインコ類、バタン類、ブンチョウなどの一年を通じて光周期の変化が少ない熱帯に生息する種類も、明るい時間が長い方が発情しやすくなる傾向があります。

対策:なるべく早く暗くし、寝かせるようにします。理想的には夕方の5時か6時くらいには暗くして、静かな所において眠らせるのがよいでしょう。家族がいるところで布だけ掛けても、寝かせていることにはなりません。また暗くするには、完全に遮光し、一度暗くしたらちょっとでも光が入らないようにしなければ効果が出ません。

(2) 温度

 四季のある地域に生息する温帯鳥は、気温が高くなる春から夏にかけて繁殖し、気温の低くなる冬には繁殖はしません。つまり温帯鳥にとって気温が高いということは、繁殖しやすい環境にあるということになります。よって冬でも暖房のかかっている部屋においておくと、季節感がなくなり、発情が続くこととなります。 熱帯鳥は、野生下で寒い時期がないため、温度よりも降雨量や湿度、食物の影響を受けるといわれていますが、飼育下では、季節に合わせて温度を下げてあげれば、温帯鳥と同様に発情しにくくなります。

対策:気温の変化による季節感を感じさせるようにします。特に冬は過保護にせず、寒くても耐えられるような体力作りをして、人と同じ生活環境におかないようにします。
 寒ければ鳥は膨みますが、病気と鑑別するために毎日体重測定等の健康チェックをするとよいでしょう。

(3) 相手の存在

 一般に雄は、雌よりも前に発情期を迎えますが、多くの鳥の雌は相手の存在、つまり雄の存在によって生殖腺が完全に回帰します。また雄のディズプレイだけでなく、仲間がいることや鳴いているといった視覚的および聴覚的な刺激も発情を促進します。
 人に馴れている鳥は、人をパートナーや仲間と思っているので、人と同じ生活環境にいるということは、発情を助長してしまう可能性があります。

対策:雌に対しては、雄やその他にも鳥がいる場合は、分けて1羽だけにしてみます。しかしペアの結び付きが強いラブバードなどの鳥種では、雌だけに限らず、雄も精神的に不安定になって、毛引きすることがありますので注意が必要です。また1羽飼いで、人をパートナーや仲間と思っている場合は、人がいつもいない部屋に置くようにして様子をみたり、触ったり、話しかけ過ぎないようにして刺激を与えないようにします。
 雄は相手がいなくても発情しますが、相手と見たてやすいおもちゃや鏡などは入れないようにします。

(4) 巣・巣材の存在

 インコ・オウム類の雌、フィンチ類の雄と雌にとって、巣や巣材の存在は発情起因のための重要な刺激となります。特に雌鳥は、巣の探索や構築は発情してから始めるものではなく、これらをすることによって生殖腺が発達してきます。

対策:巣箱、ツボ巣に限らず、鳥が巣と思うようなものをケージに入れないようにします。床敷きの紙を齧るようでしたら、紙を使わないようにします。
 また外に出した時に、衣服やカーテン、引き出しなどの中にもぐらせないようにします。

(5) 湿度(降雨)

 熱帯気候のように一日の光周期が一年を通じて変動がわずかであるか、もしくは無い地域では、雨期が発情起因の要因となります。また温帯気候でも雨季は温度の上昇する時期でもあるため、温度と降雨の両方がそろわないと、生殖腺は発達しません。日本においては、梅雨の降雨量が増える時期に、発情する鳥が多く見られます。

対策:梅雨〜夏にかけて湿度が上昇する時期には、除湿器等で湿度を下げるようにします。

(6) 食物の量と特定の植物

 食物が十分あるということは、発情起因の大きな要因となります。これは雛を育てるには、十分な食物がなければならないからです。ある鳥種では、十分に餌を与えられた場合、光刺激制限による生殖腺の不活化を無効にすることができるという報告もあります。またキンカチョウのような半乾燥地域に住む鳥では、緑草との接触により、生殖腺の発達が促進されます。雨が降らず、よい草作物が育たなければ、キンカチョウは繁殖しません。これは、草は炭水化物に富んだ種を実らせ、またこれを食すことにより、十分な代謝水を得られ、草自体は巣材となるからです。

対策:摂取量が多く、正常よりも体重がある場合は、食餌制限をして、体重を正常体重に戻すようにします。なお食事制限は、病院で適切指導のもとで行って下さい。またセキセイインコ、オカメインコ、キンカチョウなどの半乾燥地域に生息する鳥種では、試験的に青菜の給餌を停止してみる方法もあります。

(7) ストレスの欠如

 人に馴れた鳥の場合、飼育環境に対して、外敵のストレスを感じないため、発情しやすくなります。馴れていない、もしくは野鳥は捕らわれた環境においては、ストレスを感じるため発情が抑制されやすくなります。

対策:ケージやその置き場所を周期的に変えたり、親戚の家など、たまに知らない場所に連れて行ってみるのも一つの方法です。あまり過度の変化はストレスになるので、注意が必要です。

 

発情期を助長する環境要因とその対処法

 次に発情してしまった場合の対処法について解説します。発情させないための対処法と少し変わる部分があります。

(1) 光周期の延長

 一度発情期を迎えてしまった鳥に対しても、光周期を短くすることは効果的です。また発情期の雌は巣に篭る時期のため、薄暗いことが発情を助長します。

対策:なるべく早く暗くし、寝かせるようにします。そして雌に対しては、昼間にケージに布を掛けたりして薄暗くならないようにします。部屋自体が暗い場合は、照明を近くに点けて、照度を上げるようにします。トゥルーライト等の紫外線ライトの使うとよいでしょう。

(2) 温度

 外気温が暖かいということは、発情を助長します。

対策:発情期に外気温を低下させることによって、発情が休止する可能性があります。しかし急激な温度の低下は、調子を崩す原因となるで、注意しながら温度を下げるようにしなければなりません。特に産卵中の雌にとっては卵塞の原因になるので注意が必要です。

(3) 相手の存在

 雌は、発情期に相手がいることは、発情を助長する可能性があります。雄は相手がいなくても発情します。

対策:雌に対しては、雄や他の鳥がいる場合にはそれらから離し、人も相手をしないようにします。また雌雄ともに排泄孔を擦り付ける物を取るようにします。

(4) 巣・巣材の存在

 雌では、巣や巣材の存在は、発情を助長します。

対策:巣やそれに値する物、巣材は取るようにします。卵がある場合には、これも取るようにします。しかし産卵が止まらないようであれば、卵を撤去しないか、偽卵を与え、抱卵期へ移行さてみる方法もあります。

(5) 湿度(降雨)

 発情期に入ってしまった場合、湿度の調節は、発情の抑制に効果がありません。しかし梅雨の時期は湿度を下げるべきです。

(6) 食物の量と特定の植物

 食物が十分あることは、発情を助長します。

対策:専門医の指導下にて食事制限を行ってみます。しかし発情吐出のひどいインコ・オウム類の雄では、吐いた餌を再び食べない場合、極端に摂取量が減る可能性があるため注意が必要です。

(7) ストレスの欠如

 ストレスを感じた場合、発情が止まる可能性があります。

対策:ケージやその置き場所を周期的に変えたり、親戚の家など、たまに知らない場所に連れて行ってみるのも一つの手です。あまり過度の変化はストレスになるので、注意が必要です。

 

雌の抱卵期を助長する環境要因とその対処法

 抱卵が続くことは、体力を消耗します。また非常に具合が悪いように見えるので、非発情期の状態へ移行させる努力をします。

(1) 光周期の延長

 抱卵は、光周期の影響を受けません。巣に篭る時期のため、薄暗いことが、抱卵を助長します。

対策:発情が止まった後、再び発情しないようにするため、早く寝かせること自体は続けるようにします。発情期と同様に、昼間にケージに布を掛けたりして薄暗くならないようにします。部屋自体が暗い場合は、照明を近くに点けて、照度を上げるようにします。

(2) 温度

 暖かいことは、抱卵行動を継続させる可能性があります。

対策:外気温を低下させることは、抱卵を中止する可能性があります。急激な温度変化に注意する必要があります。

(3) 相手の存在

 相手の有無は、抱卵に影響しません。

(4) 巣・巣材の存在

 巣および卵がある場合、抱卵が続く原因となります。

対策:巣やそれに相当する物および卵または鳥が温めようとする物がある場合は、撤去すします。

(5) 湿度(降雨)

 湿度は、抱卵に影響しません。

(6) 食物の量と特定の植物

 食事量の制限が、抱卵を抑制することができるかは不明です。

(7) ストレスの欠如

 ストレスを感じた場合、抱卵が止まる可能性があります。

対策:ケージやその置き場所を周期的に変えたり、親戚の家など、たまに知らない場所に連れて行ってみるのも一つの手です。あまり過度の変化はストレスになるので、注意が必要です。

 

雌鳥の育雛期の発現とその対処法

 インコ・オウム類の雌では、雛がいなくても雄の発情吐出のように餌を吐きつける行動が見られることがあります。通常発情または産卵後に抱卵期なしに始まります。今のところ雛鳥がいないのになぜ、育雛期に入るのかは分かっていません。もしこのような状態になった場合は、次のような対処を試みてみます。

(1) 光周期の延長

 育雛は、光周期の影響を受けません。巣に篭る時期のため、薄暗いことが、育雛を助長する可能性があります。

対策:再び発情しないようにするため、早く寝かせること自体は続けるようにします。発情期と同様に、昼間にケージに布を掛けたりして薄暗くならないようにします。部屋自体が暗い場合は、照明を近くに点けて、照度を上げるようにします。

(2) 温度

 暖かいことは、育雛行動を継続させる可能性があります。

対策:外気温を低下させることは、吐出を中止する可能性があります。急激な温度変化には注意しなければなりません。

(3) 相手の存在

 相手の有無は、育雛期に影響しません。

(4) 巣・巣材の存在

 巣の有無は、吐出に影響しません。

対策:巣やそれに相当する物ある場合は、撤去するようにします。

(5) 湿度(降雨)

 湿度は、育雛期に影響しません。

(6) 食物の量と特定の植物

 食餌量の制限は、育雛行動を抑制することができる可能性があります。
対策:食事制限を行ってみます。しかし吐いた餌を再び食べない場合、極端に摂取量が減る可能性があるため注意が必要です。

(7) ストレスの欠如

 ストレスを感じた場合、育雛期が止まる可能性があります。

対策:ケージやその置き場所を周期的に変えたり、親戚の家など、たまに知らない場所に連れて行ってみるのも一つの手です。あまり過度の変化はストレスになるので、注意が必要です。

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